電気施工図の書き方|初心者向けに現場代理人目線で7ステップ解説

電気工事の現場代理人になったばかりの頃、

「施工図って何を描けばいいの?」
「設計図があるのに、なぜ施工図が必要なの?」
「どこまで細かく描けばいい?」

と悩む人は多いと思います。

私自身も、最初から施工図の書き方が分かっていたわけではありません。

現場で施工図を扱うようになって感じるのは、施工図は単に設計図をきれいに描き直すものではないということです。

施工図とは簡単に言えば、

設計図を、実際に現場で施工できる状態まで具体化した図面

です。

この記事では、電気工事における施工図について、

・施工図とは何か
・設計図との違い
・施工図を書く前に確認すること
・実際の施工図の書き方
・施工図に記載する内容
・現場で注意したいポイント

を、現場代理人目線で解説します。


【エレユキのワンポイント】

「CADの操作方法」より先に、何のために施工図を書くのかを理解することが大切です。


施工図とは?

施工図とは、設計図をもとにして、実際に現場で施工するために作成する詳細な図面です。

設計図だけでは、

・器具の正確な位置
・配管ルート
・ケーブルラックの位置
・設備との取り合い
・天井内の納まり
・施工寸法

などが十分に分からない場合があります。

そこで施工図を作成し、

「職人さんがこの図面を見れば施工できる」

という状態まで情報を具体化します。


設計図と施工図の違い

私が若い頃、先輩からこんなことを言われました。

「設計図は積算する図面だ」

もちろん設計図にはそれ以外の役割もありますが、この言葉は設計図と施工図の違いを理解するうえで非常に分かりやすいと思っています。

項目設計図施工図
主な目的設計内容・仕様を示す現場で実際に施工する
内容全体的な計画詳細な位置・寸法・納まり
主な使用者設計者・発注者・積算担当現場代理人・職人
詳細度比較的大まか施工できるレベルまで詳細
現場変更基本設計を示す現場条件に合わせて調整

設計図にコンセント記号が書いてあったとしても、実際の現場では、

「壁のどこにつけるのか」
「他設備と干渉しないか」
「家具や設備機器の位置は大丈夫か」

まで確認する必要があります。

それを具体化するのが施工図です。

関連記事→「設計図と施工図の違い」もご覧ください。


施工図を書く前に確認するもの

施工図は、いきなりCADを開いて描き始めればいいわけではありません。

まず必要な資料を確認します。

1.設計図

基本となる資料です。

・電灯設備図
・コンセント設備図
・弱電設備図
・幹線設備図
・系統図

などを確認します。


2.仕様書

図面だけでは判断できない内容が仕様書に書かれていることがあります。

特に、

・使用材料
・施工方法
・機器仕様
・高さ
・支持方法

などは確認しておきます。


3.建築図

電気施工図では建築図の確認が非常に重要です。

・壁
・天井
・柱
・梁
・建具
・点検口
・家具

などを確認します。

電気図だけ見て施工図を描いてしまうと、後から建築との取り合いで修正になることがあります。


4.設備図

空調・衛生設備との干渉も確認します。

特に天井内では、

・ダクト
・給排水管
・空調配管
・ケーブルラック
・電線管

が集中します。



電気施工図の書き方【7ステップ】

ここからがこの記事の中心です。

初心者の場合、次の順番で考えると施工図を作りやすくなります。


STEP1 設計図を確認する

最初に設計意図を確認します。

いきなり線を引くのではなく、

・どんな設備なのか
・どこから電源を取るのか
・何を施工するのか

を把握します。

ここを理解しないまま作図すると、施工図は描けても設計意図と違う図面になってしまいます。


STEP2 建築図と重ねて確認する

次に建築図を確認します。

例えばコンセント一つでも、

・壁の位置
・扉の開き方向
・家具
・設備機器

によって適切な位置が変わります。

施工図は電気工事だけを見て描くのではなく、建築全体を見ながら描くことが重要です。


STEP3 器具・盤・設備機器の位置を決める

次に、

・照明器具
・コンセント
・スイッチ
・分電盤
・弱電機器

などの位置を確認します。

設計図では大まかな位置しか示されていないケースもあります。

施工図では職人さんが迷わないように、必要に応じて寸法を入れます。


STEP4 配管・配線ルートを考える

次にルートを考えます。

ここでは、

・最短距離
・施工しやすさ
・将来の点検性
・他設備との干渉
・支持方法

などを考慮します。

単純に最短距離を通せばいいわけではありません。

現場で施工できるルートになっていることが重要です。


STEP5 他業種との取り合いを確認する

施工図作成では、ここが非常に重要です。

例えば天井内では、

・空調ダクト
・衛生配管
・ケーブルラック
・照明器具
・点検口

が同じ空間に配置されます。

CAD上では納まっていても、実際には施工できないケースがあります。


<strong>💡 現場ポイント</strong>

施工図は「線が重なっていないからOK」ではありません。
実際に職人さんが手を入れて施工・点検できるかまで考えます。


STEP6 寸法・高さ・注記を入れる

位置が決まったら、施工に必要な情報を入れます。

例えば、

・壁から○○mm
・FL+○○mm
・天井高さ
・配管サイズ
・ケーブルサイズ
・ラックサイズ

などです。

ただし、情報を入れすぎると逆に読みにくくなります。

施工する人が迷わないために必要な情報を入れる

という考え方が重要です。


STEP7 現場で施工できるか最終確認する

最後に、

「この図面だけ渡されて、自分なら施工できるか?」

という目線で確認します。

・寸法不足はないか
・高さは分かるか
・設備との干渉はないか
・点検できるか
・ルートは施工可能か

を確認します。

ここまでできて、施工図として使える状態になります。


施工図には何を書く?

施工図に書く内容は工事内容によって変わりますが、代表的なものは次のとおりです。

・器具位置
・盤位置
・配管ルート
・配線ルート
・ケーブルラック
・寸法
・高さ
・配管サイズ
・ケーブルサイズ
・点検口
・詳細図
・必要な注記

重要なのは、

「何でも書けばいい」ではなく、施工するために必要な情報を書くこと

です。


詳細図を入れると施工図は分かりやすくなる

私は施工図を作るとき、必要に応じて詳細図を入れることが重要だと考えています。

平面図だけでは伝わりにくい納まりでも、横から見た図や拡大図を一つ入れるだけで非常に分かりやすくなります。

例えば、

・盤まわり
・ケーブルラック
・天井内配管
・器具取付部分

などです。


【エレユキのワンポイント】

「文章で長く説明するより、一枚の詳細図を描いた方が早く伝わる」場面はかなりあります。


施工図の変更は朱書きで伝えることも多い

施工図を一度作ったからといって、そのまま最後まで変更がないとは限りません。

現場では、

・建築変更
・設備変更
・施主変更
・現場条件

などによって施工内容が変わります。

私の場合、一度作った施工図を毎回すべて描き直すのではなく、変更箇所を朱書きして職人さんへ伝えることもあります。

特に急な変更の場合、

「どこが変更になったのか」

が一目で分かることが重要です。


【現場代理人の実体験】

施工図をきれいに作ること自体が目的ではありません。

最終的な目的は、

現場で間違いなく施工してもらうこと

です。

だから、現場状況によってはCADできれいに修正するより、赤書きで変更箇所を明確にした方が伝わりやすい場合もあります。


施工図作成でよくある失敗

寸法が少なすぎる

器具の位置は描いてあるものの、どこを基準に施工すればいいのか分からない状態です。


他設備との干渉を確認していない

電気図面だけを見ていると起こりやすい失敗です。

特に天井内は注意が必要です。


設計図をそのまま写している

これは施工図とは言いにくいです。

設計図から、

「現場で施工するには何の情報が足りないか?」

を考えて追加していく必要があります。


詳細図がない

複雑な納まりほど平面図だけでは分かりにくくなります。

必要に応じて詳細図を追加します。


施工図はCADで描くべき?

現在はCADで施工図を作成する現場が一般的です。

電気設備では、

・Rebro
・Tfas
・AutoCAD
・Jw_cad

などが使われています。

私は電気設備の施工図を作るなら、Rebroをおすすめします

設備CADなので、電気だけでなく他設備との取り合い確認もしやすいのがメリットです。

ただし、初心者の場合はCAD操作だけを覚えても施工図は描けません。

先に、

「なぜその位置にするのか」
「現場でどう施工するのか」

を理解することが重要です。


電気工事におすすめのCAD比較


よくある質問

Q.施工図は誰が作る?

工事規模や会社によりますが、電気工事では現場代理人・施工管理担当者・CADオペレーターなどが作成します。

ただしCADオペレーターが作図する場合でも、現場条件や施工方法について現場担当者との打ち合わせが必要です。


Q.施工図はどこまで細かく描けばいい?

基準は、

「施工する人が迷わないか」

です。

すべてを細かく描けばよいわけではありません。

必要な寸法・高さ・納まりを分かりやすく示します。


Q.手書きでも施工図は作れる?

簡単な詳細図や変更指示なら手書きでも十分伝わります。

特に現場で急ぎの場合、朱書きや簡単なスケッチが有効なことがあります。


Q.施工図作成で一番重要なことは?

CAD操作ではなく、実際に施工できる図面になっているかです。

建築・空調・衛生設備との取り合いまで考えて作成します。


まとめ|施工図は「現場で施工できる図面」にする

施工図は、設計図をきれいに描き直すための図面ではありません。

設計図を実際に施工できるレベルまで具体化する図面です。

施工図を作成するときは、

・設計意図を理解する
・建築図を確認する
・器具位置を決める
・配管・配線ルートを考える
・他設備との干渉を確認する
・寸法・高さを入れる
・実際に施工できるか確認する

という流れで考えると整理しやすくなります。

施工図は経験によって上達する部分も大きいです。

最初から完璧な図面を作ろうとするより、

「この図面を見て職人さんが迷わず施工できるか?」

を常に考えながら作成することが大切です。


【関連記事】

・「設計図と施工図の違い

・「電気工事の墨出しとは?

・「施工要領書の書き方

・「電気工事のCAD比較

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