
「問題を開いたら、まず何から始めればいい?」「電線を切る前に複線図を書くべき?」。第二種電気工事士の技能試験では、一つひとつの加工だけでなく、作業全体の流れを決めておくことも大切です。
この記事で分かること
問題を確認してから作品を完成させるまでの作業順と、各工程で確認するポイントを解説します。練習中の「次は何をする?」という迷いを減らし、自分に合った作業の流れを作るための記事です。
こんな方におすすめ
- 技能試験の練習を始めたばかりで、何から手を付ければよいか迷っている方
- 加工や器具接続はできても、通し作業になると手が止まる方
- 切り直し・つなぎ直しを減らし、見直しの時間を残したい方
初めての練習では全体の流れをつかむために、通し練習の後は手が止まった工程を振り返るために活用してください。後半では、40分を想定した時間配分の例も紹介します。
ここで紹介するのは、当サイトが提案する作業手順の一例です。公式に指定された作業順や時間配分ではありません。問題の構成や自分の得意・不得意に合わせて調整し、試験当日の問題・施工条件・監督員の指示を優先してください。
技能試験の作業は、この8工程で進めよう
| 工程 | やること | 次へ進む前の確認 |
|---|---|---|
| ① | 問題・施工条件を読む | 接続方法・色別・器具の指定 |
| ② | 回路を理解する | 電源・負荷・スイッチの関係 |
| ③ | 複線図を書く | 接続する電線の組み合わせ |
| ④ | 寸法・切断長を確認する | 完成寸法と加工分の区別 |
| ⑤ | 電線を切断する | 種類・太さ・心数・長さ |
| ⑥ | 被覆むき・器具接続 | 傷・極性・差込み・締付け |
| ⑦ | 配置して電線を接続する | 施工条件と接続先の照合 |
| ⑧ | 完成後に見直す | 誤結線・未接続・加工状態 |
※表の番号・項目をクリックすると、該当する解説へ移動します。
最初は速さよりも、毎回同じ確認をしながら進めることを優先しましょう。手順が安定してから、工程ごとの時間を測って改善します。
① 問題・施工条件を読む|いきなり電線を切らない

作業開始の指示が出たら、問題の配線図だけでなく施工条件にも目を通します。見覚えのある候補問題でも、記憶だけで作り始めず、当日の指定を確認してください。
- 接続箇所ごとに、どの接続方法が指定されているか。
- 電線の色別や器具の極性について指定があるか。
- 器具の配置・取付枠・管やボックスなどに条件があるか。
特に、後から直すと手間がかかる指定を先に拾います。判断に迷う部分は、そのまま加工せず、図と施工条件を照らし合わせましょう。
試験開始前と、開始後を分ける
開始前の材料確認では、材料表と支給品を照合し、不足や不良があれば監督員へ申し出ます。問題の開封や作業は開始の指示に従ってください。開始前に勝手に加工を始めないようにしましょう。
② 回路を理解する|何が、どこにつながるか整理する
次に、電源・照明などの負荷・コンセント・スイッチを見分け、回路全体のつながりを整理します。スイッチの記号と対応する負荷を追い、「どのスイッチで何を操作するか」を確認しましょう。
この段階と複線図作成は、行き来して構いません。頭の中だけで整理しきろうとせず、図に落とし込みながら理解していく方法でも大丈夫です。
- 電源の位置を確認する。
- スイッチと、対応する負荷の関係を確認する。
- 常時電源が必要な部分と、スイッチを経由する部分を整理する。
白線だから、という理由だけで接続先を決めないことも大切です。線色の扱いは、回路と施工条件を確認して判断してください。
③ 複線図を書く|接続の組み合わせを見える形にする
単線図を複線図へ書き直し、接続点ごとに、どの電線をまとめるか確認します。この記事では、初心者が誤接続を防ぐための練習手順として、加工前に複線図を書く方法をおすすめします。
複線図は、きれいな清書よりも作業中に迷わず確認できることが重要です。電線の色や接続する組み合わせを、自分で読み間違えない形にそろえましょう。
- 線のつなぎ忘れや、不要な接続がないか。
- 線色・器具の接続先が施工条件に合っているか。
- 接続点ごとの電線の本数・太さを把握できているか。
詳しい描き方は、複線図の書き方を初心者向けに解説も参考にしてください。
④ 寸法・切断長を確認する|完成寸法と切る長さは別
電線を切る前に、配線図に示された寸法がどこからどこまでを指すか確認します。完成時に必要な寸法と、加工前の切断長を混同しないようにしましょう。
切断長は、図示された寸法に、器具への接続や接続点の加工に必要な分を考えて決めます。どの電線も一律に同じ長さを足す、という覚え方は避けます。器具側と接続点側で、必要な加工が違うためです。
練習では、区間ごとに「完成寸法」「両端の加工に必要な長さ」「切断長」を書き出すと、切り間違えた原因を振り返りやすくなります。
短く切る前に、もう一度確認
一度短く切った電線は、元の長さに戻せません。電線の種類と両端の接続先を確かめてから切りましょう。余長を増やしすぎると支給長が足りなくなるため、材料全体の使い方も確認します。
⑤ 電線を切断する|種類・太さ・心数もセットで確認
切断長が決まったら、使う電線を確認して切断します。長さだけに集中せず、種類・太さ・心数を含めて確認してください。
初心者は、まず1区間ずつ「図で確認 → 電線を選ぶ → 測る → 切る」の順で練習すると、取り違えを減らせます。まとめ切りを取り入れる場合も、切った電線がどの区間用か分かるように並べます。
似た長さの電線を重ねて置かず、配線図の位置に合わせて置くと、次の加工へ移りやすくなります。
⑥ 被覆をむき、器具に接続する|加工したらその場で確認

器具ごとの加工寸法を確認し、被覆むきや輪作り、器具への接続を進めます。差込み式の器具は表示されたストリップゲージを確認するなど、接続先に合った加工を行いましょう。
器具接続を先に行うか、一部の加工をまとめるかは作業しやすさに合わせて構いません。ただし、加工後の点検を最後まで先送りしないことが大切です。
- 被覆むきで心線や絶縁被覆を傷つけていないか。
- 器具の接続端子・極性が正しいか。
- ねじ締め部で絶縁被覆をかみ込んでいないか。
- 差込み不足や締付け不足がないか。
ボックスや管を使う課題では、先に通す部品や組み立ての順も考えます。器具を接続した後で「通せない」とならないよう、加工前に全体を見ておきましょう。
⑦ 配置して電線を接続する|圧着・差込みの前に照合
配線図に合わせて器具と電線を置き、複線図を見ながら接続する電線を組み合わせます。長さや並び方が似ているだけで判断せず、電源側・器具側をたどって確認しましょう。
接続する直前に、当日の施工条件へ戻ることがポイントです。接続方法を取り違えたまま進めないようにします。
- 接続する電線の組み合わせが正しいか。
- リングスリーブのサイズと圧着マークが、電線の組み合わせに合っているか。
- 差込形コネクタなどへの挿入状態が適切か。
圧着や差込みが終わった箇所は、その場で状態を確認します。全部接続してから探すより、問題のある箇所を特定しやすくなります。
⑧ 完成後に見直す|自分の複線図だけで確認しない

最後は、完成作品を問題の配線図・施工条件と照合します。自分で書いた複線図そのものを間違えている可能性もあるため、複線図だけで正解と判断しないようにしましょう。
| 確認するもの | 見るポイント |
|---|---|
| 回路・接続先 | 電源から各器具までたどり、誤接続や未接続を確認する |
| 線色・極性 | 問題と施工条件の指定に合っているか確認する |
| 接続部分 | 圧着マーク、挿入状態、締付け、被覆のかみ込みを確認する |
| 配置・寸法 | 図示された配置・寸法と作品を照合する |
| 部品・器具 | 取付枠、ブッシングなどの取付け忘れや破損を確認する |
上の表は見直しの入口であり、欠陥の判断基準の全項目ではありません。具体的な判定条件は、公式の「欠陥の判断基準」と照らし合わせて練習してください。
終了の指示が出たら、すぐに手を止める
見直しや受験番号札の取付けなど、必要な作業も制限時間内に済ませます。終了の指示後に手直しを続けないよう、余裕を持って仕上げる練習をしましょう。
40分の時間配分例|見直しの5分を残す
公式資料に示されている第二種の試験時間は40分です。変更される場合もあるため、受験時の案内を確認してください。以下は、40分を想定した当サイト独自の練習用の配分例です。公式の目標時間ではありません。
| 工程 | 所要時間の例 | 開始からの経過 |
|---|---|---|
| ①〜③ 問題確認・回路理解・複線図 | 5分 | 5分 |
| ④〜⑤ 寸法確認・切断 | 5分 | 10分 |
| ⑥ 加工・器具接続 | 15分 | 25分 |
| ⑦ 配置・電線接続 | 10分 | 35分 |
| ⑧ 見直し・必要な仕上げ | 5分 | 40分 |
初めからこの時間に合わせて急ぐ必要はありません。まず正しく完成させ、どの工程で時間がかかったかを記録します。輪作りや被覆むきなど、時間のかかる作業を部分練習し、通し練習へ戻しましょう。
課題によって加工量は違います。見直し時間を確保することを軸に、自分の記録を見ながら配分を調整してください。
練習で決めておきたい3つのこと
- 工具を置く位置:取り出すたびに探さなくて済むよう、定位置を決める。
- 切った電線を置く位置:どの区間の材料か分かる並べ方にする。
- 確認するタイミング:切断前・器具接続後・電線接続前・完成後に確認する。
一度に多くの時短方法を取り入れるより、毎回同じ手順で作ってから、迷ったところを一つずつ改善していくと、自分の作業の型を作りやすくなります。
まとめ|「読む・理解する・描く」から始めよう
技能試験の練習は、問題を読むところから完成後の見直しまでを、一つの流れとして繰り返しましょう。最初に回路と施工条件を整理しておくことが、切り直しやつなぎ直しを減らすことにつながります。
読む → 理解する → 複線図 → 寸法確認 → 切断 → 加工・器具接続 → 電線接続 → 見直し。まずはこの順番を基本に、自分が迷わず進められる手順を作ってください。
練習の準備費用を抑えたい方は、工具・練習材料を安くそろえる方法【中古と新品の使い分け】もあわせてご覧ください。
参考資料
試験時間・当日の流れ・施工上の注意:電気技術者試験センター 「技能試験の概要と注意すべきポイント」(2026年3月)。判定条件:同センター 「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」。最新版は公式案内ページで確認してください。情報確認日:2026年10月30日。作業順・時間配分・練習方法は当サイトの提案例です。



