配管工事施工要領書の書き方|項目別の記載例と作成ポイント

電気工事の配管施工要領書を作成するときは、使用する電線管だけでなく、施工場所ごとの納まりや支持方法、ボックス・機器との接続方法を整理する必要があります。

この記事では、隠ぺい配管、二重天井内配管、EPS周りの配管など、施工要領書に記載する主な項目と作成ポイントを紹介します。

各項目の記載例を参考に、現場で採用する材料や工法に合わせて、施工要領書を作成してください。

1.一般事項

一般事項では、配管工事の施工要領書を作成する目的、適用範囲、施工上の重点事項、適用する図書・法令を整理します。

施工要領書を読む人が、「どの工事を対象とし、何に注意して施工・確認するのか」を把握できるように記載しましょう。

埋設配管では躯体や他設備との取り合い、屋上・屋外配管では使用環境への対応など、現場で重視する事項を明確にします。また、施工中に疑義や変更が生じた場合の協議方法と、隠ぺい前・工程完了時の確認方法も定めておきます。

適用図書は名称を並べるだけでなく、本工事で使用する仕様書や標準図の名称・年版を確認して記載してください。

一般事項の記載例

以下は、配管工事施工要領書の一般事項をまとめた記載例です。工事名称、適用範囲、適用図書、協議・検査の担当者などを、実際の工事に合わせて修正して使用します。

2.埋込配管

コンクリートへの埋込配管の施工要領には、使用する管の種類、配管経路、ボックスの位置、鉄筋への固定方法、管端の養生方法を記載します。スラブと壁では配管の納まりや施工のタイミングが異なるため、それぞれの図で確認できるようにまとめましょう。

下図は、PF管・CD管を使用した埋込配管の記載例です。左図にスラブ内の配管、右図に壁内の配管とスラブからの立上げ詳細を示しています。配管は鉄筋に確実に固定し、ボックスや管の接続部付近も支持して、打設時の移動や接続部の抜けを防ぎます。また、管端にはキャップなどで養生を行い、異物やセメントペーストの侵入を防止します。

分電盤周辺や立上げ部分など、配管が集中する箇所では、管の重なりや鉄筋との干渉を避け、コンクリートが充填できる間隔を確保します。構造に影響する納まりは建築担当者・構造設計者と事前に協議し、承認された内容を施工要領書に反映させます。

型枠を閉じる前やコンクリート打設前には、ボックスの位置・向き、配管経路、接続・固定・養生の状態を確認し、隠れる部分の施工状況を写真に残しましょう。

埋込配管の記載例

(左:スラブ内配管/右:壁内配管と立上げ詳細)

3.隠ぺい配管

二重天井内や軽量間仕切り内の施工要領には、配管の支持方法・支持間隔と、ボックスの固定方法を記載します。使用する管や下地に合った支持金物を選び、仕上げ後の点検や器具の取付けまで考えた納まりを示しましょう。

下図は、左に金属管の二重天井内配管、右に軽量間仕切り内のボックス取付けを示した記載例です。天井内では、吊りボルトやパイプハンガなどで配管を支持し、プルボックス付近にも支持を設けます。他設備の配管やダクトとの接触を避け、プルボックスのふたを開けて点検できるスペースも確保します。

軽量間仕切り内では、間柱間の固定材や専用金具を使用し、ボックスがぐらつかないように固定します。取付け高さは仕上げ床面を基準とし、壁のボード厚や仕上げに合わせてボックスの出入りを調整します。また、配管の支持と金属製ボックスの接地・ボンディングについても、採用する施工方法を明確にしておきます。

天井や壁を閉じる前に、配管の支持状態、ボックスの位置・固定、接続部分を確認し、隠れる部分の施工状況を写真に残しましょう。

隠ぺい配管の記載例

(左:金属管の二重天井内配管/右:軽量間仕切り内のボックス取付け)

4.EPS周りのニ次側配管

EPS周りの二次側配管の施工要領には、分電盤から送り出す配管やケーブルの経路、プルボックスの位置、支持方法を記載します。EPSや分電盤の周辺は配管が集中しやすいため、建築工事との取り合いや施工スペースを事前に確認しておくことが大切です。

下図は、EPSから二重天井内へ二次側配管を送り出す場合の記載例です。配管をスラブ内へ集中して埋め込まず、EPS内で立ち上げた後、天井内で横引きする納まりを示しています。金属管やケーブルラックはスラブまたは壁などの構造体から支持し、分電盤やプルボックスに配管の荷重がかからないように施工します。

ケーブルラックから直接ケーブル配線とする場合は、施工方法によって配管接続用のプルボックスを省略できることがあります。ただし、ケーブルの曲げ半径や引込みスペース、保守点検性を確認し、必要に応じてプルボックスを設けます。

また、EPSの壁や床が防火区画となる場合は、貫通部に適合する防火処理が必要です。施工前に配管経路・支持位置・区画貫通部の納まりを確認し、施工要領書へ反映しましょう。

EPS周りのニ次側配管の記載例

5.電動機への接続

電動機への接続要領には、固定配管から電動機までの配管方法、可とう電線管の使用方法、電線の接続および接地方法を記載します。電動機は運転中に振動するため、固定配管を直接接続せず、二種金属製可とう電線管を使用して振動が配管や接続端子へ伝わりにくい納まりにします。

下図は、露出配管と埋込配管から電動機へ接続する場合の記載例です。防雨または防湿を必要とする場所では、ビニル被覆二種金属製可とう電線管と、施設場所に適合する附属品を使用します。電動機への配管は、雨水などが端子箱へ伝わりにくいよう、原則として下方から立ち上げて接続します。

電線には振動による張力が加わらないよう適切な余長を確保し、電動機の端子に適合する圧着端子を使用します。端子ねじは指定トルクで締め付け、確認マーキングを行います。また、接地線は回路の電線と同一の管内に収め、電動機の接地端子へ確実に接続します。

施工時は、可とう電線管の曲げや支持位置、接続部の緩み、接地状態を確認します。埋込配管の管端は、配線作業まで水や異物が入らないように養生しましょう。

電動機への接続の記載例

6.屋上・屋外配管の施工要領

屋上・屋外配管の施工要領には、外壁取出し部の防水方法、配管の支持方法、使用する管や支持金物の仕様を記載します。屋外では雨水、直射日光、温度変化、塩害などの影響を受けるため、屋内配管よりも防水性・耐候性・耐食性を考慮した計画が必要です。

下図は、外壁から配管を取り出す場合と、屋上で配管を支持する場合の記載例です。外壁貫通部は屋外側へ下り勾配を設け、貫通部やプルボックス周囲にシーリング処理を施して、建物内への雨水浸入を防止します。プルボックスやコネクタ、可とう電線管には、屋外で使用できる防雨性・耐食性を有する製品を使用します。

屋上の配管は、コンクリート置基礎や機械基礎に固定した支持材を使用し、風圧や地震による滑動・転倒・浮き上がりを防止します。防水層上に支持架台を設ける場合は、防水層を傷めないよう保護材を設け、アンカーを直接防水層へ打ち込まない納まりとします。

また、屋上では日射による管内温度の上昇や配管の伸縮、紫外線による材料の劣化にも注意が必要です。長い直線配管には伸縮を吸収する措置を施し、海岸地域や腐食性ガスが発生する場所では、環境に適した管・支持材を選定して必要な防食処理を行いましょう。

屋上・屋外配管の記載例

(左:外壁取出し部の防水処理/右:屋上配管の支持方法)

9.エキスパンション部

エキスパンションジョイント部の施工要領には、建物の変位に配管を追従させる方法、可とう電線管の支持位置、電線やボンド線の余長を記載します。エキスパンションジョイントを金属管などで固定した状態のまま横断すると、地震や温度変化による建物の動きによって、配管や接続部が破損するおそれがあります。

下図は、二種金属製可とう電線管を使用して、エキスパンションジョイント部を横断する場合の記載例です。両側にプルボックスを設ける方法や、片側のプルボックスから可とう電線管を送り出す方法など、現場の配管経路や点検スペースに合わせた納まりを示しています。

可とう電線管には、建物の想定変位量に追従できる余長を確保します。プルボックスと支持材はジョイント部をまたがず、建物の両側へそれぞれ独立して固定します。また、管内の電線とボンド線にも適切な余長を持たせ、変位が生じても端子や接続部へ張力が加わらないようにします。

金属製ボックス・金属管・金属製可とう電線管は、ボンディングを施して電気的な連続性を確保します。防火区画や防水を必要とする部分では、建物の変位に追従できる適合工法を選定し、施工前に構造図や特記仕様書で想定変位量を確認しましょう。

エキスパンション部の記載例

10.品質管理シート

配管工事の品質管理シート

配管工事の品質管理では、配管・ボックスの位置や支持状態、接続部の締付け、接地、防水処理などを確認し、結果を記録します。下記は、各工種に共通する確認事項と、埋込み配管・隠ぺい配管・電動機への接続・屋外配管などの確認事項をまとめた品質管理シートの例です。

使用する際は、施工範囲に応じて該当項目を選び、確認日・合否を記入します。不具合があった場合は、指摘事項と是正内容を記録し、再確認後に是正確認日を記入してください。対象外の項目は「-」、確認していない項目は「未」として区別します。

コンクリート打設後や天井・壁の仕上げ後に見えなくなる部分は、隠れる前の確認が大切です。 支持間隔や離隔などの数値基準は、設計図書・適用仕様書を踏まえて施工要領書に明記し、その基準と照合して確認します。

品質管理シートの記載例

配管工事施工要領書を作成するときの注意点

現場で採用する材料・工法を明確にする

同じ配管工事でも、施工場所や設備の用途によって使用する材料と施工方法は異なります。

ひな形を使用する場合は、今回の工事で採用する管種・附属品・支持方法を具体的に記入し、使用しない工法の説明は削除しましょう。

管種ごとの条件を整理する

支持間隔や曲げ加工、接続方法などは、使用する電線管や施工条件に応じて確認する必要があります。

数値を記載する際は、対象となる管種と適用条件を併記し、図と本文で異なる内容になっていないか確認しましょう。

施工図・材料資料・品質管理シートを一致させる

施工要領書に記載した材料や施工方法は、施工図および承認された材料資料と整合させます。

また、品質管理シートの確認項目も施工要領書に合わせて作成し、施工から検査まで同じ基準で確認できるようにしましょう。

隠ぺい前の確認と写真撮影を計画する

コンクリート打設後や天井・壁の仕上げ後は、配管の施工状況を確認しにくくなります。

施工要領書を作成する段階で、隠ぺい前に確認する項目と写真に残す箇所を整理しておくことが大切です。

まとめ

配管工事の施工要領書では、施工場所ごとの材料、支持方法、接続方法、確認事項を整理します。

隠ぺい部、天井内、EPS周り、機器接続部、屋上・屋外など、それぞれの施工条件に合わせて本文と図を作成しましょう。

作成した要領書は、施工前の説明や施工中の確認にも使用します。品質管理シートと工事写真まで対応させ、施工内容を確認・記録できる形に仕上げることが重要です。

今回の記載例をベースに、不要な項目を削除し、現場で採用する材料・寸法・管理基準を追記してご活用ください。


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