交流回路とは?周波数・実効値・位相を第二種電工向けにわかりやすく解説

第二種電気工事士の勉強をしていると、直流回路の次に出てくるのが交流回路です。

直流回路では、

・電圧
・電流
・抵抗
・オームの法則

といった内容が中心なので、四則演算ができれば比較的理解しやすいと思います。

ところが交流回路になると、

「周波数って何?」
「実効値って何?」
「位相って何?」
「50Hzと60Hzは何が違う?」
「単相と三相ってどう違うの?」

と、急に聞き慣れない言葉が増えてきます。

私自身も、交流回路は電気工学を学ぶうえで最初の大きな関門だと感じました。

周波数は日常でも聞くことがありますが、「実効値」や「位相」という言葉は普通に生活しているとなかなか出てきません。

しかし、交流は実際の電気工事では非常に身近です。

住宅のコンセント、照明、空調設備、モーター、高圧設備など、普段扱っている多くの電気設備に交流が使われています。

この記事では、第二種電気工事士を勉強している初心者向けに、

・交流回路とは何か
・直流との違い
・ACの意味
・周波数50Hz・60Hz
・実効値とは何か
・位相とは何か
・単相と三相
・現場で確認する周波数・電圧・相回転
・逆相でモーターが逆回転した実体験
・力率と力率改善

まで、できるだけわかりやすく解説します。


交流回路とは?

交流とは、電圧や電流の大きさと向きが周期的に変化する電気です。

英語では、

Alternating Current

といい、頭文字を取って

AC

と表します。

前の記事で解説した直流(DC)は、基本的に電流が一定方向へ流れます。

一方、交流では電流の向きが繰り返し入れ替わります。


DCとACの違いを簡単に整理

直流と交流を比べると、違いがわかりやすくなります。

項目直流 DC交流 AC
正式名称Direct CurrentAlternating Current
電流の向き基本的に一定周期的に変化
+・-極性が明確周期的に入れ替わる
身近な例乾電池・バッテリー家庭のコンセント
主な用途電子機器・弱電設備など照明・コンセント・動力など

私自身は、

DCのD=Direct=「直」流

と覚えていました。

ACについては、最初は

「+と-が入れ替わる動きがある」

というイメージで覚えていました。

もちろん正式には、

A=Alternating

です。

まずは言葉の意味より、

直流=一定方向
交流=向きが変わる

とイメージできれば十分です。


交流は波で考えるとわかりやすい

交流をグラフで表すと、一般的な正弦波交流では波のような形になります。

0Vから、

+方向

0V

-方向

0V

と変化し、これを繰り返します。

つまり交流では、電圧も電流も常に同じ値ではありません。

ここが直流との大きな違いです。


周波数とは?

交流を理解するうえで重要なのが、周波数です。

単位は、

Hz(ヘルツ)

を使います。

周波数とは簡単に言えば、

1秒間に交流の波が何回繰り返されるか

を表したものです。

例えば50Hzなら、

1秒間に50周期

です。

60Hzなら、

1秒間に60周期

です。


日本には50Hzと60Hzがある

日本の商用電源には、

50Hz地域

60Hz地域

があります。

大まかには、

・東日本 → 50Hz
・西日本 → 60Hz

です。

私は高校時代、先生からこの理由を教わりました。

日本で電力供給が始まったころ、東京側ではドイツ系の50Hz発電機、大阪側ではアメリカ系の60Hz発電機が導入され、それが現在まで続いています。

この話を聞いてから、

東=50Hz
西=60Hz

がかなり覚えやすくなりました。


現場では周波数を必ず確認する

50Hz・60Hzは、試験の暗記だけではありません。

実際の電気工事でも確認が必要です。

例えば、

・変圧器
・高圧機器
・モーター
・空調設備
・各種電気機器

などを納入するときは、メーカー仕様書を確認します。

私は普段西日本の現場を扱うことが多いため、60Hzの感覚が身についています。

その状態で関東など50Hz地域の現場へ行くと、いつもの感覚で仕様を確認すると周波数を見落とす可能性があります。

そのため、納入前に、

電圧
相数
周波数

などを仕様書で確認することが重要です。


実効値とは?

交流で初心者がつまずきやすい言葉の一つが、

実効値

です。

家庭のコンセントは一般に、

AC100V

と呼びます。

しかし、正弦波交流の電圧が常に100Vという意味ではありません。

交流電圧は時間とともに変化しています。

それでも「100V」と表現できるのは、実効値を使っているからです。


実効値は「直流ならこれくらいの働きをする値」

初心者向けには、

交流を直流と同じ働きで比較した値

と考えるとわかりやすいです。

例えばAC100Vというのは、

抵抗などに対してDC100Vと同程度の電力効果を持つ交流

というイメージです。

一般的な正弦波交流の場合、

最大値=実効値×√2

なので、

AC100Vの最大値は、

100×√2 ≒ 141V

になります。

つまり、

AC100Vだから最高でも100V

という意味ではありません。


第二種電工では実効値をどう考える?

最初から難しく考えなくても大丈夫です。

まずは、

「交流の100Vは実効値」

ということを押さえておけばOKです。

さらに、

最大値=実効値×√2

という関係を覚えておくと、交流の問題を理解しやすくなります。


位相とは?

交流でもう一つ大きな壁になるのが、

位相

です。

私自身も、ここは最初かなりわかりにくく感じました。

「位相」という言葉自体、普段の生活ではほとんど使いません。


位相は「波のタイミング」

初心者向けには、

位相=波のタイミング

と考えるとわかりやすいです。

例えば2つの波が、

同じタイミングで上がり、
同じタイミングで下がれば、

位相がそろっています。

一方、一方の波が少し遅れて動いていれば、

位相がずれている

ということです。


抵抗だけの交流回路では電圧と電流の位相は同じ

純粋な抵抗だけの交流回路では、

電圧と電流は同位相

です。

つまり、

電圧が上がるタイミングと、
電流が上がるタイミングが、

基本的にそろっています。

ところが、

・コイル
・コンデンサ

が入ると、電圧と電流のタイミングにずれが生じます。

これが交流回路を難しく感じる大きな理由の一つです。


コイルが入るとどうなる?

コイルは、電流の変化を妨げる性質があります。

交流回路にコイルが入ると、

電流が電圧より遅れる

という特徴があります。

第二種電工の段階では、細かい理論よりまず、

コイル → 電流が遅れる

と覚えておけばよいでしょう。


コンデンサが入るとどうなる?

コンデンサでは反対に、

電流が電圧より進む

という特徴があります。

つまり、

コイル → 電流が遅れる
コンデンサ → 電流が進む

です。

ここは交流回路を勉強するときの重要ポイントです。


単相交流とは?

電気工事の現場では、

単相

という言葉をよく使います。

家庭の照明やコンセントなどで使われるのが代表例です。

住宅では、

・単相100V
・単相200V

を使用します。

例えば、

・一般コンセント → 100V
・照明 → 100V
・エアコン → 100Vまたは200V
・IHクッキングヒーター → 200V

などがあります。


最近の照明器具にはボルトフリーも多い

最近の照明器具では、

100V~242V

など、広い電圧範囲に対応した電源を採用している製品も多くあります。

現場では「ボルトフリー」と呼ぶことがあります。

そのため、100Vでも200Vでも使用できる照明器具があります。

ただし、

すべての照明器具がボルトフリーというわけではありません。

送電前には必ず、

器具仕様書・定格銘板

を確認します。


三相交流とは?

工場や大型施設などでは、

三相交流

をよく使用します。

代表的なのが、

三相200V

です。

主に、

・空調機
・ポンプ
・ファン
・コンプレッサー
・各種モーター

などで使用します。


三相交流では「相回転」が重要

三相交流では、

相の順番

が重要になります。

これを相回転・相順などと呼びます。

モーターへ三相電源を接続するとき、相の順番が変わると回転方向が逆になることがあります。

そのため、送電前試験では相回転を確認します。


私が実際に逆相で送電した経験

これは私が実際に経験した話です。

空調設備の施工では、設備業者から仕様書を入手して、

・電圧
・相数
・周波数
・相回転

などを確認しながら施工します。

本来なら送電前試験で確実に確認する必要があります。

しかし以前、逆相の状態で電動機へ送電してしまったことがあります。

すると、

電動機が逆回転しました。

その結果、送風機も逆回転して、

本来「吹き出し」の場所が「吸い込み」になった

ことがあります。

実際に目の前で空気の流れが逆になると、

「相の順番を変えるだけで、本当にモーターの回転方向が変わるんだ」

と実感します。

失敗ではありますが、交流の面白さを実感した経験でもあります。


現場では送電前試験を確実に行う

機器を壊さないためにも、送電前には確認が重要です。

私の場合、

・電圧
・相間電圧
・相回転
・絶縁抵抗
・機器仕様

などを確認してから送電します。

特に高価な空調機器や設備機器では、

「たぶん大丈夫」

で送電しないことが大切です。


力率とは?

交流回路では、

力率

という考え方も出てきます。

力率は簡単にいうと、

供給された電力をどれくらい有効に使えているか

を見る指標の一つです。

コイルを多く含むモーターなどでは、電圧と電流の位相がずれるため、力率が低下することがあります。


力率改善にはコンデンサを使う

力率を改善する方法として、

進相コンデンサ

を設置することがあります。

先ほど説明したように、

・コイル → 電流が遅れる
・コンデンサ → 電流が進む

という性質があります。

そこでコンデンサを利用して、遅れを補正します。


力率改善は現場で提案材料になる

私は現場で、コンデンサの経年劣化による更新を検討するときに、

現在の設備条件を確認して、力率改善できないか

を考えることがあります。

高圧受電設備などでは、契約条件によって力率が電気料金に影響する場合があります。

そのため、

「ただ古いコンデンサを交換する」

だけでなく、

「現在の負荷に合った設備へ更新できないか」

まで検討すると、お客様への提案につながります。

※力率と電気料金の関係は契約内容によって異なるため、実際には電力会社との契約条件を確認します。


変圧器の更新も省エネ提案につながる

交流設備では、変圧器も重要です。

古い変圧器から高効率の変圧器へ更新すると、損失が小さくなり、使用条件によっては消費電力量を削減できる場合があります。

その結果、

電気料金削減

につながることもあります。

設備更新は、

「古くなったから交換する」

だけではありません。

・省エネ
・ランニングコスト
・更新費用
・回収年数

まで数字で示せると、お客様にも提案しやすくなります。

これは、前回解説した「電力・電力量」の計算ともつながります。


第二種電気工事士ではどこまで覚えればいい?

交流は奥が深く、すべてを理解しようとすると一気に難しくなります。

第二種電気工事士の段階では、まず次を押さえましょう。

・AC=Alternating Current
・交流は電圧や電流の向きが周期的に変化する
・日本には50Hzと60Hzがある
・周波数の単位はHz
・100Vは実効値
・実効値と最大値には√2の関係がある
・位相=波のタイミング
・抵抗では電圧と電流が同位相
・コイルでは電流が遅れる
・コンデンサでは電流が進む
・単相と三相がある

まずこのくらいです。

最初から電気工学の交流理論を全部理解する必要はありません。


交流回路は電気工学の最初の関門

私自身、

直流回路は簡単だったのに、交流になったら急に難しくなった

という感覚がありました。

これは珍しいことではないと思います。

直流では、

・電圧
・電流
・抵抗

という比較的イメージしやすいものを扱います。

交流になると、

・周波数
・実効値
・位相
・力率

という、普段の生活では聞かない言葉が一気に登場します。

でも、それぞれを、

周波数=波の回数
実効値=直流と同じ働きで比較した値
位相=波のタイミング

くらいから理解していけば大丈夫です。

一つずつ理解していくと、やがて三相交流・モーター・変圧器・高圧設備など、実際の現場へ知識がつながっていきます。


まとめ

交流回路とは、

電圧や電流の大きさ・向きが周期的に変化する回路

です。

今回のポイントをまとめます。

・交流=AC=Alternating Current
・交流は波として考えるとわかりやすい
・周波数は1秒間に何周期繰り返すか
・日本には50Hzと60Hzがある
・AC100Vの100Vは実効値
・位相は「波のタイミング」
・抵抗では電圧と電流が同位相
・コイルでは電流が遅れる
・コンデンサでは電流が進む
・三相交流では相回転が重要
・逆相になるとモーターが逆回転することがある
・現場では電圧・周波数・相回転を送電前に確認する
・力率改善や高効率変圧器への更新は省エネ提案にもつながる

交流回路は、直流より少し難しく感じるかもしれません。

でも、交流は電気工事の現場で非常によく使う知識です。

最初から難しい数式を全部覚えようとせず、

「波が動いている」

というイメージから理解していきましょう。


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