
電気工事を勉強していると、
「VVF1.6mmは何アンペアまで流せる?」
「1.6mmと2.0mmはどうやって使い分けるの?」
「20AのブレーカーならVVF1.6mmでもいいの?」
と疑問に思うことがあります。
ここで重要になるのが、電線の許容電流です。
許容電流とは簡単に言えば、
その電線に安全に流すことができる電流の上限
です。
ただし、電線の太さだけを見て「○Aまで」と覚えればいいわけではありません。
・電線の種類
・電線の太さ
・心数
・施工方法
・周囲温度
・同じ管に入っている電線の本数
などによって、許容電流は変わります。
この記事では、第二種電気工事士を勉強している初心者にも分かるように、VVF1.6mm・2.0mmを中心に許容電流の考え方を解説します。
さらに、実際の現場では1.6mmと2.0mmをどう使い分けているのか、私の経験も交えて紹介します。
許容電流とは?
許容電流とは、電線に連続して電流を流したときに、安全上問題がない範囲で流せる電流のことです。
電線に電流が流れると、電線は発熱します。
これは電線自体が持っている抵抗によって、電気エネルギーの一部が熱になるためです。
電流が大きくなるほど発熱も大きくなります。
許容範囲を超えた状態が続けば、
・電線が異常に熱くなる
・絶縁被覆が劣化する
・電線の寿命が短くなる
・最悪の場合、火災につながる
可能性があります。
つまり許容電流は、
「この電線なら、どれくらいまで安全に電流を流せるのか」
を判断するための重要な数字です。

電線の太さで流せる電流が変わる
・細い電線
→ 流せる電流が小さい
→ 電流を流しすぎると発熱しやすい
・太い電線
→ 流せる電流が大きい
→ 同じ電流でも余裕がある
【 🔧 現場ポイント 】
電線は「電気が流れればOK」ではない
電線を接続して機器が動けば工事完了、というわけではありません。
その回路に流れる電流に対して、適切な電線サイズを選定することが重要です。
なぜ太い電線ほど大きな電流を流せるのか?
電線は太くなるほど電気抵抗が小さくなります。
同じ材質・同じ長さで比較すると、細い電線より太い電線の方が電流を流したときの発熱を抑えられます。
そのため、
太い電線ほど大きな電流を流すことができます。
住宅などでよく使用するVVFケーブルでも、
・1.6mm
・2.0mm
・2.6mm
といったサイズがあります。
数字が大きくなるほど導体が太くなります。

VVF1.6mm・2.0mm・2.6mmの許容電流
住宅などでよく使用されるVVFケーブルについて、代表的な許容電流の目安を見てみましょう。
| 電線サイズ | 2心 | 3心 |
|---|---|---|
| VVF1.6mm | 18A | 15A |
| VVF2.0mm | 23A | 20A |
| VVF2.6mm | 32A | 27A |
※上記は代表的な目安です。実際の施工では、メーカー資料や施工条件、心数、周囲温度などを確認してください。
同じ1.6mmでも、2心と3心で許容電流が違うことに注目してください。
【🔧 現場ポイント 】
「VVF1.6mm=18A」とだけ覚えない
許容電流は、電線の種類や心数、布設条件などによって変わります。
数字だけを丸暗記するのではなく、
「熱が逃げやすいか、逃げにくいか」
までイメージすると理解しやすくなります。
なぜ2心と3心で許容電流が違うの?
初心者のころに、
「同じ1.6mmなのに、なんで流せる電流が違うの?」
と疑問に感じるポイントです。
理由の一つは、熱の逃げやすさです。
VVFケーブルは複数の電線が同じシースの中に入っています。
複数の心線に電流が流れて発熱すると、お互いの熱の影響を受けます。
そのため、条件によって許容できる電流が変わります。
許容電流を考えるときは、
電線の太さだけではなく、どんな状態で使われるかまで見る
ことが大切です。
実際の現場では1.6mmと2.0mmをどう使い分ける?
許容電流の表を見ても、
「結局、現場では1.6mmと2.0mmをどう使い分けるの?」
と思う人も多いでしょう。
ここからは、私が実際に経験してきた現場での使い分けを紹介します。
【現場代理人の実体験】
電灯回路は盤から2.0mm、渡り配線は1.6mmを使うことが多い
私が経験してきた現場では、電灯回路は分電盤からVVF2.0mmで配線し、照明器具間などの渡り配線では1.6mmを使うことが多くありました。
イメージとしては、
分電盤
↓
VVF2.0mm
↓
照明器具
↓
VVF1.6mm
↓
照明器具
↓
VVF1.6mm
↓
照明器具
という配線です。
盤から最初の送りは2.0mmで取り、そこから負荷の小さい照明器具間を1.6mmで渡っていく、という使い方です。

コンセント回路は2.0mmで配線することが多い
一方、コンセント回路については、私の経験では基本的にすべて2.0mmで配線することが多かったです。
コンセントは照明と違い、何を接続するかによって消費電力が大きく変わります。
例えば、
・電子レンジ
・電気ケトル
・ドライヤー
・掃除機
・暖房器具
など、比較的大きな電流が流れる機器が接続される可能性があります。
そのため、私が経験してきた現場では、
コンセント回路は2.0mmで統一する
という設計や施工が多くありました。
もちろん、最終的には設計図や仕様書、回路容量を確認して施工します。
換気扇は電灯回路と同じ回路に入れることが多い
換気扇については、私の経験では電灯回路と同じ回路に入れることが多くありました。
特にトイレや小部屋などの小型換気扇は消費電力も大きくないため、
照明+換気扇
という組み合わせで回路を構成することがあります。
例えば、
・トイレ照明
・トイレ換気扇
を同じ電灯回路に入れるイメージです。
ただし、
「換気扇は必ず電灯回路」
という意味ではありません。
換気扇の容量や用途、設計仕様によっては別回路となる場合もあります。
【🔧 現場ポイント 】
現場の「よくある施工」と設計条件は分けて考える
現場経験が増えると、
「いつもこうやっているから今回も同じでいい」
と考えてしまいがちです。
しかし実際には、
・設計図
・仕様書
・負荷容量
・施工条件
を確認して判断することが重要です。
官庁物件ではすべて2.0mm設計の場合も多い
民間工事と官庁物件では、電線サイズの考え方が違うと感じることがあります。
私が経験した官庁物件では、
電灯回路も含めて、ほぼすべて2.0mmで設計されている
ケースを多く経験しました。
民間工事では、
・盤から2.0mm
・照明器具間の渡りは1.6mm
という使い分けをすることがあります。
一方、官庁物件では最初から2.0mmで統一されている設計もよく見ます。
また官庁物件では、VVFではなくEM-EEFなど、使用するケーブル自体が仕様書で指定されていることもあります。
【 🔧現場ポイント 】
「許容電流上使える」と「設計上使ってよい」は別
例えば1.6mmで許容電流上問題がなくても、設計図や仕様書で2.0mmと指定されていれば、その仕様に従います。
現場では、
許容電流
+設計図
+仕様書
+施工条件
をセットで確認することが重要です。
IV線の場合は許容電流が違う
ここでもう一つ注意したいのが、
VVFとIVでは、同じ太さでも許容電流の考え方が違う
という点です。
例えばIV単線では、代表的な基準値として、
| IV単線 | 許容電流の基準値 |
|---|---|
| 1.6mm | 27A |
| 2.0mm | 35A |
| 2.6mm | 48A |
などがあります。
ただし、これもそのままどんな施工方法にも使える数字ではありません。
例えば電線管などに複数本の電線を収めると、熱が逃げにくくなります。
そのため、施工条件によって電流減少係数を考慮する必要があります。
電線管に何本も入れると許容電流が下がる
電線を1本だけ空気中に置いた状態と、何本もの電線を同じ電線管の中に入れた状態を想像してください。
電線が密集している方が熱が逃げにくくなります。
そのため、同じ電線でも施工条件によって流せる電流が小さくなります。

許容電流とブレーカー容量は同じ意味ではない
ここは初心者が特に混乱しやすいところです。
例えば、
「20Aのブレーカーなら、電線も20A流せればOK」
と単純には考えません。
ブレーカーには、回路や電線を過電流から保護する役割があります。
一方、許容電流は電線が安全に流すことのできる電流です。
つまり、
負荷・電線・ブレーカーをセットで考える
必要があります。

例えば100Vで1500W使ったら何A流れる?
許容電流を理解するなら、実際の負荷電流を計算してみると分かりやすくなります。
基本式は、
電流(A)=電力(W)÷電圧(V)
です。
100Vで1500Wの機器を使用すると、
1500÷100=15
なので、
15A
流れることになります。
例えば同じ回路に、
・電子レンジ
・炊飯器
・電気ケトル
などを集中させると、回路に流れる電流が大きくなります。
だからこそ、電線サイズとブレーカー容量を適切に選ぶ必要があります。
現場では専用回路にすることも重要
住宅や建物では、大きな電力を使用する機器について専用回路にするケースがあります。
例えば、
・エアコン
・電子レンジ
・IHクッキングヒーター
・食器洗い乾燥機
・洗濯乾燥機
などです。
専用回路にすることで、ほかの負荷の影響を受けにくくなります。
【現場代理人の実体験】
私が現場を見るときも、冷蔵庫や洗濯機などについては、ほかの負荷と一緒にするのではなく、専用回路や専用コンセントとして計画されているかを確認します。
特に冷蔵庫は常時使用する機器です。
ほかの負荷を使ったことでブレーカーが落ち、
「知らないうちに冷蔵庫まで止まっていた」
という状況は避けたいところです。
また、洗濯機など水まわりで使用する機器では、接地についても確認します。
単に「コンセントを付ける」だけではなく、
その機器がどのように使われるのかまで考える
ことが現場では重要です。
私が現場でよく見るVVFとEM-EEF
私の経験では、民間工事ではVVFケーブルを使用することが多く、官庁物件ではEM-EEFケーブルを使用することが多いです。
EM-EEFは、公共工事などで仕様書に指定されることがあります。
見た目や用途が似ていても、電線・ケーブルにはさまざまな種類があります。
そのため、
「いつもVVFだから今回も同じでいい」
と考えず、設計図や仕様書を確認することが重要です。
電線が長くなる場合は電圧降下にも注意
許容電流だけ確認すれば、電線サイズ選定が終わるわけではありません。
電線が長くなると、電圧降下も考える必要があります。
例えば、分電盤から負荷まで非常に長い距離を細い電線で配線すると、電線の抵抗によって負荷側の電圧が低下します。
そのため現場では、
許容電流上は問題ないけれど、電圧降下を考えて一つ太い電線を使う
という判断もあります。

電線サイズを決めるときに見るポイント
実際に電線サイズを検討するときは、少なくとも次の点を確認します。
① 負荷電流
その回路にどのくらい電流が流れるのか。
② 電線の種類
VVF、IV、EM-EEF、CVなど。
③ 電線サイズ
1.6mm、2.0mm、2.6mm、2sq、5.5sqなど。
④ 施工方法
電線管、ケーブルラック、ころがし配線など。
⑤ 周囲温度
高温になる場所では許容電流に影響する場合があります。
⑥ 電線の本数
同じ管に多数の電線を入れる場合、熱がこもりやすくなります。
⑦ 電圧降下
配線距離が長い場合は確認が必要です。
⑧ ブレーカー容量
回路を保護するブレーカーとの組み合わせを確認します。
⑨ 設計図・仕様書
現場では最終的にここを必ず確認します。
よくある間違い①「太い電線なら何でもいい」
確かに、許容電流だけを考えれば太い電線の方が余裕があります。
しかし、
「迷ったら全部太くする」
では適切な設計とは言えません。
電線が太くなれば、
・材料費が高くなる
・施工しにくくなる
・曲げにくくなる
・端子への接続が難しくなる
・配管サイズにも影響する
といった問題があります。
必要な条件を確認して、適切なサイズを選ぶことが重要です。
よくある間違い②「VVF1.6mm=18A」と数字だけ覚える
許容電流は数字の暗記だけではなく、
なぜその値になるのか
を理解した方が応用できます。
最低でも、
・電線が太いほど許容電流は大きい
・電線が密集すると熱が逃げにくい
・周囲温度が高いと条件が厳しくなる
・心数や施工条件でも変わる
という考え方を覚えておきましょう。
第二種電気工事士ではどこまで覚える?
第二種電気工事士を勉強している段階では、最初から細かな許容電流表をすべて丸暗記する必要はありません。
まずは、
「電線には流してよい電流の上限がある」
ことを理解してください。
そのうえで、
・電線の太さ
・ブレーカー
・負荷電流
・施工条件
が関係していることを理解すれば、問題も覚えやすくなります。
現場では許容電流表だけで判断しない
実際の現場では、インターネットで見つけた早見表だけを見て電線を選定するのはおすすめしません。
確認するものは、
・設計図
・仕様書
・メーカー資料
・適用される技術基準や規程
・負荷の仕様書
・施工方法
などです。
特に幹線や大容量負荷では、
「たぶんこのサイズで大丈夫」
という判断をしないことが重要です。
【 🔧現場ポイント 】
早見表は「確認の入口」
早見表は便利ですが、それだけで最終決定しないようにしましょう。
施工条件や仕様書まで確認する習慣をつけることが大切です。
まとめ|許容電流は「電線が安全に流せる電流」
許容電流とは、
電線に安全に流すことのできる電流の上限
です。
今回のポイントをまとめます。
・電線に電流が流れると発熱する
・電線が太いほど一般的に許容電流は大きくなる
・VVF1.6mmと2.0mmでは許容電流が違う
・同じ太さでも心数や施工条件によって許容電流は変わる
・私の経験では、電灯回路は盤から2.0mm、渡り配線は1.6mmを使うことが多い
・コンセント回路は2.0mmで配線することが多い
・換気扇は電灯回路と同じ回路に入れることが多い
・官庁物件では電灯を含め2.0mm指定の設計を多く経験した
・許容電流とブレーカー容量はセットで考える
・長距離配線では電圧降下にも注意する
・実際の現場では設計図や仕様書を優先する
第二種電気工事士の勉強では、数字だけを覚えるより、
「なぜこの電線サイズなのか」
を理解することが大切です。
そして実際の現場では、
負荷 → 電線 → ブレーカー → 施工方法 → 設計図・仕様書
までセットで考えられるようになると、電線サイズ選定への理解が一気に深まります。
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